組体操は運動会でも花形種目とされますね。近年では難度の高い技に挑戦する傾向が過熱していて、10段積んで骨折者続出とかいう世界なんだとか。
近所にある小学校の運動会でも組体操がご自慢なので、報道を知って以降すこし気になってました。そんな折、近所の子達にお呼ばれしたのでちょいと見に行ってきたレポートです。
組体操の危険性
組体操の指導が過熱するなか、その危険性を指摘する専門家も出てきました。
人間ピラミッド10段の場合,おおよそ高さが7m,最大負荷が200kgとなる。無茶・無謀な挑戦は,先生たちの安全指導の限界を超えてしまっている。はたして、それほどのリスクを冒してまで、巨大化・高度化を目指す必要があるのだろうか。
四人同時骨折 それでも続く大ピラミッド 巨大化ストップの決断を
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著者は、組体操や部活など学校現場での安全管理を訴えてる名大の先生です。 |
高さ偏重の組体操からスピード重視の構成へ
演舞は小学校5~6年生による全員参加です。前年度は難易度を追求した結果、ハイライトのタワーが予定通りに組み上がらなくて泣きのリトライがあったという話でした。
ところが、この日に見た組体操は一番高くて3段。トップの子も立ち上がることなく高さを誇る演出はありません。
その代わり全体の動きがかなり高速です。3段を作るまでわずか1秒足らず。ぴょこぴょこ組み上がってフォーメーションの遷移が早いので、低層ながら目を引きます。脇で扇を作ったりする装飾部隊もいるので、そこそこバラエティもあり。
終了後、顔見知りの子達に声を掛けたら「何か知らんけど今年はこうなったんだよね」という話だったので、安全性についての話し合いがあったのかも知れません。
とりあえず純粋にショーとして考えたとき、高さを捨てて速さを取るというのは新しい展開だと思いました。
全員参加競技に全体の底上げは不可能
自分が在学中に経験した組体操はせいぜい3~4段だったように思いますが、運動部じゃない人の背中は安定感がなくて非常に怖かった覚えがあります。高層になるほど危険度は高まりますし、安全性を確保するなら三段程度に留めておくのは賢明な判断でしょう。
例えば「とっさの受け身が取れる運動部の有志」だけで多少余計に積むならまだ判ります。でも全員参加の体育の延長で全員に高度な技術を求めるのは現実問題として不可能です。
グループごとに難易度の違いを出す
今回良かったなと思ったのは、比較的難易度の高い島と運動が苦手そうな島が分かれてたことでした。
特にタワーは誰か一人でも運動苦手な子が入るとそこがボトルネックになります。これを運動神経による差別ととるか区別ととるかは難しいところですが、区別して良い部分でしょう。実際、この演技ではリフトに加わらない子にも華を添える役割が与えられていました。高さを出さないなりの仕事があるのは好ましいことです。
向き不向きがあるかも判らない子ども達を『とにかく頑張れ』で叱咤するより、具体的に動きやタイミングを指導しやすい構成にシフトした今回のケースは評価されていいと思いました。
これがベスト解かどうかは判りませんが、私は良い取り組みと受け止めます。
2015年の感想
【 本章追記:2015/10/02 】せっかくなので今年も見てきました。高さは3段まででフォーメーション重視という構成。組体操と言うより人文字に近いパフォーマンスで、観客が屋上から見たら面白そうだなぁ、という印象です。
もしブラスバンドなんかも力を入れてる学校だったら、より多彩な演出の可能性もありそうですね。
もっとも現状の先生方が忙しいのは事実だし、課外活動にこれ以上負荷を掛ける必要ないかもな、と言う気もします。この辺は よその親御さんの感想も聞いてみたいところ。
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高さがなければクイックネスで勝負すれば良いじゃない? |
【 更新履歴等 】
2014-09-21 初稿発表
2015/10/02 2015年版の感想および参考図書足しました。
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